3.強制執行
債務名義か確定した債権に対してはいつでも強制執行を行うことが可能となります。
◆動産差押
動産を強制的に差押さえして売却を行い、債権に充当することができます。動産とは土地・建物である不動産以外の全ての物をさします。しかし、現実的に動産を差押さえしても支払の遅れている債務者は、債権に充当できるほど価値のあるものはほとんど所有していません。
車両など比較的価値の高いものもありますが、通常オートローンなどを利用しており、クレジット会社等に所有権があるため動産執行の対象とはなりません。
従って現実的には動産執行はほとんど効果がありません。
◆不動産差押
不動産は動産に比べて価値が高いのは間違いありませんが、住宅ローンなどの抵当権が設置されている場合にはあまり効果がありません。返済が遅れている債務者の場合住宅ローン以外にも抵当権が設置されているケースもあり、よほどの資産家でない限り不動産の差押さえは経費もかかるため現実的な手段ではありません。
◆債権差押
動産とは物理的に存在する物のことをいいますが、債権は目には見えませんが金銭などを請求できる権利のことをいいます。目に見えない権利なのでそれを証明する証書が作成されます。この債権を差押することも可能です。
債権にはいろいろな種類があります。株券やゴルフ会員権なども金銭価値のある債権の一種です。かつては電話の加入権も債権として価値がありましたが、現在ではほとんど金銭的価値はなくなりました。
このほかにも金銭を請求できる権利であれば全て債権として差押できますが、通常、債権を持っているかどうかを客観的に判断することは難しく、債権の差押は特定のものに限られています。
◆給与差押
給与も勤務先に金銭を請求できる債権の一種と考えられます。しかも勤務先が判明していれば比較的簡単に差押が可能であるため、差押さえとしては有効な手段です。給与の差押は全額が可能なわけではありません。債務者の生活を保護する観点から給与の約1/4までが限度となっています。
債権者としては毎月定期的に差押の金額が入金となるため効率的ですが、中小企業などでは給与差押を理由に解雇する場合もあり、逆効果となるケースもあります。
◆預金差押
預金も差押の対象となりますが、銀行・支店名・口座番号などがわかっていないといけない上に、差押が行われた時点で預金残高がないと意味がありません。個人事業主に対する手段としてはタイミングを考慮して行えば効果を得られるかもしれませんがあまり一般的ではありません。