3.貸金業規制法改正の影響(指定個人信用情報機関)
2006年の貸金業規制法改正により定められた事に「指定個人信用情報機関」の設置があります。個人信用情報機関は会員である貸金業者やクレジットカード会社から各社の顧客情報を集め、会員の共通情報としてデータを提供する機関です。
貸金業規制法改正の目的のひとつに多重債務者の発生防止があります。多重債務者の発生を防止するためには、過剰貸付を行わないことが基本です。社内での過剰貸付を禁止する以外に他社での貸付状況も把握して、業界全体で過剰貸付を行わないことが重要となります。
個人信用情報機関は大きく分けてクレジットカード会社系列のCIC、銀行系のKSC、そして貸金業者が加盟している全情連(全国信用情報センター連合会)があります。この3つの機関はお互いに提携してデータを交換していますが、いわゆるネガ情報(事故情報)のみの交換に限られていて、正常利用の情報や申込情報は交換されていません。加えて交換基準がまちまちであるため、実質的に多重債務の防止には役立っていません。
***そのため改正貸金業規制法では貸金業者は全て同一の個人信用情報機関に加盟することと、業界に対して共通の機関である「指定個人信用情報機関」の設置を義務付けました。新規に個人信用情報機関を立ち上げるには時間がかかるため、既存の個人信用情報機関である全情連が指定個人信用情報機関になるべく準備を行っています。
全情連(全国信用情報センター連合会)はその名のとおり全国各地にある信用情報センターを取りまとめる連合会であるため、指定機関となるために組織の統一を図っています。各センターの他にもテラネットやJICといった関連機関も含め全てのデータを統合する予定です。
現在、全情連の加盟会社は一部のクレジットカード会社を除き消費者金融業者がほとんどですが、指定機関となった場合にはクレジットカード会社も全て加盟することになり、データ保有量はCICを超えることになります。
銀行系の情報がほとんど共有されないことを考えると、指定機関設立後でも完全に過剰貸付を防止できるかどうかは疑問ですが、少なくても現在に比べればかなりの過剰貸付が抑制できることになります。
しかし、問題は貸付を受けられなかった人がどうするかということです。闇金に流れるようであれば多重債務者の防止どころか、金利負担とともに多重債務者を増加させることになります。
多重債務者の防止には国が関与して債務を整理できる環境を整えることが第一ではないでしょうか。