6.貸金業規制法改正の影響(審査への影響)
貸金業規制法改正の影響(上限金利の引き下げ)で簡単に触れましたが、貸金業規制法の改正が審査に与えた影響をもう少し考えてみたいと思います。
貸金業者が申込審査を行う場合に何を重要視するでしょうか?基本的にお金を借りるというのは、まとまったお金を持っていないことが前提となりますので、クレジットカードやショッピングクレジットの審査に比べると厳しいのは簡単に想像できることです。
貸金業者が取り扱う商品は一般に無担保ローンといわれるもので、証書貸付であってもカードローンであっても同じで信用だけで貸付を行います。
そのため「まとまったお金は持っていないが、毎月安定した収入があり、少ない金額であれば確実に返済ができる」かどうかを判断することが審査において重要なこととなります。つまり毎月安定した収入があり返済可能な範囲の貸付かどうかという点を判断します。
その判断基準として「安定している」かどうかは勤務内容で、「返済可能な範囲」かどうかは他社を含めた貸付残高で判断します。ところがこの二つの審査ポイントが、貸金業規制法改正の前後で大きく変わってしまうのです。
ひとつは総量規制の影響ですが、この総量規制自体は2007.11現在ではまだ実施されていませんので、現実的に影響は出ていないかもしれません。しかし、成約率の低下を考えると審査上は前倒しにして総量規制を配慮した審査基準となっていることは十分に考えられます。
つまり、規制前には明確な基準がなかった年収に対する貸付残高の比率を考慮することによって、今までは審査に通っていた低所得層を排除するようになるということです。
もうひとつは金利引き下げの影響です。企業は利益を出すことが目的ですから、金利の引き下げを余儀なくされた場合、支出を減らすこととリスクを軽減することを考えます。支出を減らすといっても経費の節減程度では追いつかないくらい収入が激減する状況ですから、もうひとつのリスクの軽減を図ることになります。
消費者金融業者のリスクは貸し倒れといわれるもので、つまり貸したお金を最終的に全額回収できなくなるリスクのことです。このリスクを回避するには確実に返済できる(と思われる)申込者にのみ貸付することが必要です。いくら大丈夫と思っても必ず貸し倒れは発生しますが、なるべく回避するために年収の基準を上げたり、パート・アルバイトといった不安定な勤務形態を対象外にしたりすることが考えられます。
結論として法改正により審査はより厳しくなるというのが現状です。