3.おまとめローンは有効?

画像053おまとめローンという言葉を見たり聞いたりしたことがあると思いますが、貸金業規制法では広告の規制も行われていて、他者借入の一本化を示唆する言葉は広告・宣伝では使うことができません。おまとめローンもその類の言葉ですので、実際に貸金業者が使うことはありません。現実的にこの言葉を使って広告しているのは貸金業規制法規制対象外の銀行であることがほとんどです。

借入を一本化するという手段は証書貸付において追加融資を行う場合によく行われることです。これは自社の借入だけに限られますが、一本化することで支払いが二重になることを防ぎ、返済に余裕を持たせることが目的です。いわば手動でリボ払いをするようなものなので、一度であればまだしも何度も追加融資を繰り返すようでは金利負担が増すかりです。通常追加融資をするたびに支払い回数も長くなるからです。

債務の一本化はたしかに月々の支払い金額を減らし支払いやすくなるため多重債務の防止に効果がありそうですが、根本的な問題を解決しない限り債務の一本化では多重債務の防止は不可能です。
私も不動産担保ローンで債務を一本化する契約を取り扱ったことがありますが、最終的には行き詰るケースがほとんどでした。なぜかというと多重債務となった原因が解決されていないからです。浪費癖、ギャンブル、支払い観念のなさ、病気、リストラなど様々な理由がありますが、その問題を根本的に解決した上で債務の一本化を行わない限り、ほぼ100%の確率で多重債務は繰り返されます。

不動産を担保にして長期に借りなおし、月々25万の支払いが8万円になったとしても、なぜかまた支払い金額が増え続けるのが多重債務者となる人の習性ともいえるものです。のどもと過ぎれば熱さを忘れてまた借入を始めてしまうのです。
借入が重なり支払いができなくなり、督促を受け続けることはかなりのストレスとなります。債務の一本化によりこのストレスから一気に開放されることが、逆にそれまでの反省も忘れさせてしまうことになるようです。

債務の一本化を行うのであれば家族の協力が不可欠です。貸金業協会に依頼すれば貸金業者に貸付禁止の依頼を行うことができます。家族や本人の依頼に基づき管轄の登録業者全てに貸付禁止の通知を行います。これでほぼ全ての業者から借入ができなくなります(健康保険証を紛失したときなども悪用を防ぐ有効な手段です)。
債務の一本化と同時にこういったその後の借入ができなくなる手段を講じ、かつ家族が生活を監視するくらいでなければ多重債務から立ちなおさせることは難しいのです。